大麻を病院で処方するメリットとは、どのように処方されるのか

現在世界的に様々な用途で注目を集める大麻ですが、日本でも少しずつ海外の大麻情勢について目にする機会が増えてきました。
特に大麻=悪いものだと認識していた方には、「医療用大麻」という言葉は驚きだったのではないでしょうか。

実際にアメリカやカナダ、韓国では大麻を医療処方することはごくごく一般的になってきています。
では、大麻の医療利用にはどういったメリットがあるのでしょうか。

今回は医療用大麻と大麻を病院で処方するメリットについてご紹介いたします。

大麻のもつ効果、効能とは

医療用大麻/医療用マリファナには、様々な効果効能が期待されています。
実際に医療用大麻を処方しているアメリカなどの国では、医療用大麻に以下のような効果を期待しています。

  • 鎮痛作用
  • 沈静作用
  • 催眠作用
  • 食欲増進作用
  • 抗癌作用
  • 眼圧の緩和
  • 嘔吐の抑制

このように、大麻に期待される効果効能は多岐にわたり、様々な症状に対応できる医療品として認識されています。
実際にアメリカで医療用大麻が処方される例としては、以下のようなものがあります。

  • 腰痛
  • 消耗症候群
  • 慢性痛
  • 末期エイズ患者の食欲増進
  • ガンの化学療法に伴う吐き気の緩和

こういった症状を緩和するために、医療用大麻が処方されることは諸外国では徐々に一般的になってきています。

医療用大麻の歴史

大昔から大麻は医療に利用されてきています。
現存する最古の記録としては、紀元前2700年の中国の皇帝「神農」の教えを伝える2世紀の「神農本草経」での記述です。

「神農本草経」では大麻はリウマチ性疼痛、便秘、女性器障害、マラリアなどに効果があるとされており、実際に広くこういった症状の改善のために使用されていたことが伺えます。

インドにおいてはさらに大麻は重要視されてきた歴史を持ちます。
インドでの医療用大麻の歴史は紀元前1000年まで遡り、鎮痛剤、抗けいれん、催眠鎮静、抗菌、抗寄生虫、下痢、胃腸炎、食欲刺激、利尿、媚薬、気管支炎や喘息などといった様々な用途で大麻を医療利用していた記録があります。

またインドでは大麻と宗教に強い結びつきがあり、「大麻は幸福の源」だとの言及も確認されています。

古代エジプトでも大麻が医療利用されていた可能性が高く、紀元前2350年頃のエジプトの文献にも大麻についての記述があるとされています。

医療用大麻の成分とは

医療用大麻と嗜好用大麻にはどのような違いがあるのでしょうか。
実は医療用大麻と嗜好用大麻には成分的な違いはほとんどありません。

一般的には、大麻に含まれるTHC・CBDが医療効果を期待されています。

THC(テトラヒドロカンナビノール)

THC(テトラヒドロカンナビノール)とは、大麻に含まれる主要な成分で、向精神作用が高いことで知られています。
嗜好品として大麻を用いる場合は、THCの持つ向精神作用を求めての使用がほとんどでしょう。

ハーバード大学の研究では、THCが肺がん主要の成長を半減させ、転移を抑えるといった結果が出ています。
またドイツの研究では、THCを投与することで繊維筋肉痛の痛みに対して高い緩和効果があるとされています。

CBD(カンナビジオール)

CBD(カンナビジオール)は医療用大麻の主成分であり、強い鎮静作用があることで知られています。

CBDには痙攣、不安神経症、炎症、嘔吐などの緩和と癌細胞の成長の抑制などの効果が期待されているのです。
さらに近年の研究では、統合失調症に対しての効果があることを示すようなデータが出ています。

2007年に発表されたデータでは、CBDが乳癌の悪性癌細胞を減らすことが示されました。
また、CBDには神経保護作用があり、様々な神経痛や神経障害についての効果も期待されています。

医療用大麻の使用方法

医療用大麻は様々な形で処方されます。
具体的には、乾燥大麻、大麻樹脂、チンキ、合成THC、抽出大麻成分、鎮痛・消炎パッチ、クリーム、調理大麻など、多様な処方方法があり、患者の症状や生活様式に合わせた処方が可能な点が魅力です。

パイプ/ジョイント

パイプやジョイント(大麻をタバコ状にしたもの)を用いて、乾燥大麻を燃焼させて煙を吸引する方法。
即効性が高く効率よく効果が得られる点が魅力。しかし有害なタールが発生するために、肺への悪影響が懸念されています。
大麻そのものがもつ抗がん作用により、発がんリスクは抑えられる、といった研究も多数存在している。

ヴェポライザー

専用の器具を使用し、大麻成分を気化させてタールを発生させることなく摂取することができる。
パイプ/ジョイントとほぼ同等の効果があり、嗜好用よりも医療用として病院で用いられることの多い方法。

調理大麻

大麻をクッキーやチョコレート、グミなどに加工し、経口摂取する方法。
胃腸から消化しながら体内に吸収されるため、即効性は低いがその分持続時間が長く、一度摂取すれば長時間医療大麻の恩恵を受けられる。
摂取量の調整が難しいことが難点ですが、得られる効果は大きいため今後さらに研究が進むことに期待されている処方。

生大麻ジュース

大麻の葉などの原料をミキサー等の器具で砕き、野菜やフルーツのジュースに混ぜて飲む。
生大麻ジュースでは、THCではなくTHCAとして大麻の成分をより大量に摂取することができることが魅力です。

大麻を病院で処方するメリットとは、どのように処方されるのかまとめ

今回の記事では大麻を病院で処方するメリットについてご紹介しました。

    医療用大麻に期待される効果は多岐に渡り、様々な症状の患者に処方できることで注目されています。
    また処方方法も様々で、患者の症状や患部、生活様式に合わせて処方を変えられる点も魅力的です。

    現在の日本では医療用・嗜好用に関わらず大麻は使用できませんが、日本でもまずは医療用大麻が解禁されることを願っている方は多いでしょう。